コゴリオン

最近はラブライブサンシャインとか嵌まってる。ハースストーンと東方は今も好き

今一度、モンハンが面白い理由について

 mh4、そろそろ飽きてきたかも知れない。steamのフォールセールでportal,civ4,VVVVVV,Stealth Bastard Deluxe,Papers,Pleaseを買ったので当面はこちらにかまけているかもしれない。

 というタイトルにそぐわないところから出発しようかと思います。

 

 

 モンハンをやっているとどこかで面倒な気分が湧いてきてしまうことがある。クエスト一個クリアするのに20分かかるわ、それで素材が出てこなかったら同じクエストを3,4回繰り返さなければならないし、それで新しい装備を手に入れたところで待っているのは次なるループへの挑戦権でしかない。モンハンは狩人という職業の終わりなき狩猟作業をテーマにした職業体験ゲームなのではないかとふと思う。

 このゲームには基本的に終わりが無いので、ゲーム自体は面白いのだけれどもなるべく手っ取り早くクエストをクリアして装備を集めたくなる。その先に得られるエンディングが無くてもそう思うのである。それが極まると、効率厨という蔑称で呼ばれる人間となる。シリーズ累計二千万本売れたモンハンであるが、例えばフロンティアのタイムアタックで頂点となった狩猟方法は、一人が敵の目の前で数十個単位の閃光玉を投げ続け、残り三人が対象を殺すまでボウガンを連射するという全国のハンター兼炭鉱夫志望者を微妙な面持ちにさせる作業であった。

 かくいう小生もプレイが面倒になったというのは「やりたいけど時間をかけたくない」という矛盾した心理の表れであり、正確に言うと「強い友人に声をかけて四人がかりで蛸殴りにして楽に強い武器を手に入れたい」くらいの意味なのである。丁度これはソーシャルゲームで「ゲージ回復したからには使い切りたいけど面倒だから大量消費行動をやってまた半日放置する」みたいな心理と似ている。

 

 そんなに面倒ならやらなきゃいいじゃんとお思いになるかもしれない。いや全く持ってその通りなのだが、そこがモンハンの恐ろしい所なのである。プレイする過程が面倒でもそれを補って余りあるクリアへの快感が存在する。

 巷ではモンハンの面白さ、何故ここまでブレイクしたのかについて語る記事が多くみられるが、「携帯機で多人数協力プレイできるのが当時では斬新」とか、「難易度が高いゆえにコアゲーマーの支持を得た」などでは説明しきれないと小生は考える。モンハンは難易度を自分で選べるし時代が変わっても売れている。ソロで驚くほどやり込んでいる人間だって少なくない。これはもうゲームそのものにマリオやスト2やポケモンと同じような「得体の知れない面白さ」なるものがあるのに違いないのである。

 

 長い前置きの割に結論は大したことが無いのだが、小生はモンハンの面白さの秘訣を「報酬の細分化」にあると結論付けた。もし既に同じ結論を出している方がいたら――いやいるに違いないのだが――申し訳ない。

 

 売れるゲームには最低でも大・中・小三種類のサイズ別成功報酬が存在すると言われている。

 スーパーマリオブラザーズに例えると、大報酬が勿論「ゲームクリア(エンディング)」であり、中報酬が「ワールドクリア、及びステージクリア」、そして小報酬が「ファイアフラワーゲット、1upキノコ発見、地下でコイン入手等の小さな成功」である。このようにプレイヤーが攻略しがいのあるポイントを複数作り、最後までモチベーションを失わせないような構造となっている。

 特にゲームの明暗を分けると小生が考えているのが小分けにされたステージ中に更に点在する小報酬である。他のゲームで考えてみると、例えばFEならば「1ターンで編隊撃破できた、神成長した、ステータスアップアイテムを盗めた、有効必殺が発動した」等であり、世界樹ならば「バステを通した、新スキルを習得した、事故接触したFOEから逃げられた」と言い換えることもできる。ともかく、要所要所で「難しかった(少なくともそう見えた)けれども攻略できて嬉しい」と思わせる要素を作らないとゲームはすぐに飽きてしまう。

 

 モンハンの恐ろしさはこの小報酬の異常なまでの量の多さにある。

 果たしてどこまで意識的に設定していたのか、ゲームの最初から最後まで、クエストの最初から最後まで、ありとあらゆる点に、達成の快感が存在するのである。

 一例として、少しシミュレーションしてみよう。

 小生が通りすがりのスラッシュアックス使いで、MH4の上位ギルドクエストにおいて、「イャンクック亜種の狩猟」に挑戦するとする。

 荷物整理をしていざ出発しよう。ここから先は暫く読み飛ばしてくれていい。

・食事をしたら体力スタミナともに50上がってしかもネコの医療術が付いた。これは嬉しい。

・ベースキャンプで応急薬Gと携帯食料がたくさん手に入った。これは嬉しい。

・入って目の前でターゲット発見。これは嬉しい。

・猫が鬼人笛を吹いてくれた。これは嬉しい。

・ファーストアタックを頭にぶち込む。これは嬉しい。

・突進を前転で回避できた。これは嬉しい。

・怒り状態になるまで攻撃を与えられた。これは嬉しい。

・ネコ式突撃術が決まった。これは嬉しい。

・目隠しで威嚇状態の所に属性解放をしたら怯んだ。これは嬉しい。

・属性解放でほぼゲージを残さず使い切った。これは嬉しい。

・ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュドッカーン! これは嬉しい。

・頭が一段階破壊された。これは嬉しい。

・ダメージを喰らったが猫に突進している間に回復できた。これは嬉しい。

・怯んだおかげで突進モーションをキャンセルできた。これは嬉しい。

・敵がエリチェンするまで戦い続けた。これは嬉しい。

・時間を無駄にせずに食事をして武器を研ぐことができた。これは嬉しい。

・途中で研磨剤と支給用大タル爆弾を拾った。これは嬉しい。

・エリチェンした対象を発見した。これは嬉しい。

・ブナハブラがブレスの楯になった。これは嬉しい。

・疲労中に属性解放が頭に通る。これは嬉しい。

・二度目にキレる。これは嬉しい。

・左右ブレスを受けたが危なげなく前転して火属性を打ち消した。これは嬉しい。

・回復しようと思ったら猫がしてくれた。これは嬉しい。

・斧の一撃で頭が完全破壊される。これは嬉しい。

・音爆弾を上手く当てられた。これは嬉しい。

・まさかの落し物から地獄耳入手。これは嬉しい。

・突進をルパンダイブで紙一重でかわす。これは嬉しい。

・猫の一撃で怯む。これは嬉しい。

・段差からの乗り成功。これは嬉しい。

・足を引きずり始めている。これは嬉しい。

・採掘でお守りと装備発見。中身は分からないが手に入っただけでも嬉しい。

・眠っている対象を発見。これは嬉しい。

・タル爆弾で叩き起こす。これは嬉しい。

・キレ動作中にぶん回しで相手がこける。これは嬉しい。

・メインターゲット達成。これは結構嬉しい。

・剥ぎ取りで立派なクチバシが出る。これは嬉しい。

・残り時間でハチミツ採取が出来た。これは嬉しい。

・クエストクリア! これは嬉しい。

・報酬ゲット。これは嬉しい。

・鑑定結果2スロのお守りが出る。これは嬉しい。

・無乙でクリアできた。これは嬉しい。

・5分針だった。これは嬉しい。

・クエストレベルが上がった。これは嬉しい。

・最小全長で、しかも銀冠だった。これは嬉しい。

・ローディング中の台詞が看板娘だった。これは嬉しい。

・素材が揃ったので防具生産が出来た。これは嬉しい。

・防具一式が揃ってスキルが付いた。これは嬉しい。

・ふらハンとモンニャン隊が仕事に成功していた。これは嬉しい。

 

 

 とまあこんな具合である。

 お分かりいただけただろうか。ここで箇条書きした事柄全てに大なり小なり快感が存在するのである。

 これはほんの一例であり、例えば大剣ならば「溜め3を弱点にぶつけた。これは嬉しい」となるし、ティガ相手なら「セオリー通り閃光を当てられた。これは嬉しい」となり、ギルクエでないのなら「気球を見つけた。これは嬉しい」となる。多人数でやるなら「粉塵が功を奏した。これは嬉しい」とか「同武器仲間と一緒に属性解放した。これは嬉しい」となるかもしれない。

 数えきれないほどの小さい快感が、クエストごとに微妙にラインナップを変えて迎えてくる。それがこのゲームの凄い所だ。そして中報酬、即ちクエスト達成がやたら長い所為で、喜びの大きさも小報酬より一個高い所に存在する。この構造も注目すべきところだ。

 この小報酬がなぜこうも快感なのかは残念ながら完全に解明するのは難しい。「いつでもハメ殺される可能性があるから攻撃を避けるだけで快感」とか「レア素材はマジで入手しにくい確率設定になっているからゲットすると快感」とかいうのは分かりやすいが、実の所快感の種はもっと微妙なところにあって、例えばモンスターの疲労モーションとか、血が出る量で弱点が分かる演出とか、切った時や採取した時のSEとか、回復時にガッツポーズすることでわざわざ回復の難易度を上げている仕様とか、クリティカル距離でボウガンの弾を当てた時の画面の揺れ方とか、そういうものが積み重なって絶妙なバランスとなってできているに違いない。この積み重ねにおいてモンハンに勝てるゲームはまあ、そうはないだろう。

 

 つまり効率厨の行動は「面白さを求める」行為かどうかはさておいて、「快感を求める」行為としては至極正しいのである。何せ閃光玉を投げたりリスクの高いしゃがみ撃ちを全弾叩きこむだけで快感なのだから。そしてその結果としてすぐに中報酬まで手に入り、素材入手の小報酬にも近づく。

 

 この一連の流れこそ、歴戦のハンティングジャンキーが編み出した「最も狩りのエクスタシーを引き出せる方法」なのである。

 ゲーム性について語るのならば間違っているかもしれないが、少なくとも娯楽として見るのならば合理的であると言えるのではないだろうか。

 

※誤解の無いように言っておくがモンハンで上級者になるのがとっても難しいことは重々承知している。タイムアタッカーと効率厨は分けて考えていただきたい。

 タイムアタッカーはまた別の論理でプレイしているかのように見えるが、ここでは割愛する。